2020年度から始まった英語の教育改革。戦後最大規模の改革と言われています。
これまで社会で役立たないと度々批判されてきた日本の学校英語。これを、これからの国際化時代に向け、外国人と十分なコミュニケーションを取れる英語力を育むため、大きくモデルチェンジしようというのです。小中高校すべての授業内容が大きく変わり、それにあわせ、2021年度から中学の英語教科書も変わりました。
本記事では、その変化について詳しく取り上げてみました。
中学の英語教科書の変化
まずは英語の教科書の変化を見ていきましょう。
[前の中1の教科書のunit1の最初の本文]
主な教えるべきことは、挨拶・「私は〜です」の表現ですね。
[新しい中1の教科書のunit1の最初の本文]
ん!?教えるべきことは、挨拶・「私は〜です」の表現に加えて、前置詞・一般動詞・頻度を表す副詞など。たぶんこれらは「教えるべきこと」ではなくて、小学校で学んで「わかっていること」として扱われている気がしますね。
ワォーー!すごい変化ですね。
[前の中3の教科書の最初の本文]
単語数は78語。
[新中3の教科書の最初の本文]
単語数は124語。
78単語から124単語へ。1.5倍以上の分量の長文に。
英語の新カリキュラムの概要
新カリキュラムについて詳しく知るため、旧カリキュラムと比較して見ましょう。
学数する単語数の増加
まずは新旧カリキュラムにおける学習する単語数の変化から。
小学校 | 中学校 | 高校 | |
---|---|---|---|
旧カリキュラム | 0 | 約1200 | 約1800 |
新カリキュラム | 約700 | 約1700 | 約2200 |
旧カリキュラムでは中学校で1200語学ぶのみだったのが、新カリキュラムでは小学校で700語・中学校1700語学習することになり、合計2400語程度学ぶことになります。中学卒業までの学習単語数は1200語から2400語になります。
中学卒業までに覚えるべき単語量が、単純に2倍。
ちなみに高校卒業までに学校で学習する単語数は700+1700+2200=4600となり、これは旧課程の大学入試のセンター試験に必要な単語レベルですね。
- センター試験・共通テストレベル:4000〜5000語
- MARCH・関関同立レベル:5000〜6000語
- 早慶・旧帝大レベル:6000〜7000語
カリキュラムの前倒し
次に、新カリキュラムがどのようなものかを知るため、学年と学習内容の対応表を作成しました。新旧のカリキュラムが比較しやすいように、学習内容には旧カリキュラムの何年の内容を学ぶのかを表示しました。
学年 | 小3 | 小4 | 小5 | 小6 | 中1 | 中2 | 中3 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
学習内容 | 英語に親しむ | 旧中1内容 | 旧中2 | 旧中3 | 旧高1 |
小学生から英語を学び始め、中学のカリキュラムは1年前倒しです。
高校入試関連のことについてだけ、まとめるとこんな感じです。
- 覚える単語数が約2倍に!
- 小5・6年で旧中1内容を学び始める。
- 全体としては1年前倒しで学ぶ。
それで、ここで質問です。上の3つの項目の中で、私が一番嫌だな〜と思っていることはどれだと思いますか?
それを伝えるために、学校で英語をどんな順でまなんでいくかを知るとわかりやすいので、次はそれについて説明します。この部分に関しては、新旧カリキュラムにおいて、小さな差はあれど、大きな違いはありません。
学校英語の学習の流れ
分かりやすくするため、どんな日本語文を英訳できるようになるのかを書いてみたいと思います。①②③は旧カリキュラムの中学の学年を表します。
①彼は[男]です。
彼は[本]が好きだ。
②彼は[会うべき男]です。
彼は[本を読むこと]が好きだ
③彼は[昨日私が会った男]です。
彼は[英語で書かれた本を読むこと]が好きだ。
①②③と学年が進むごとに、より複雑な文になって行きます。ただよくみてもらうと、わかると思うんですけどベースの部分が同じなんです。
①彼は[男]です。
彼は[ ]が好きだ。
このベースを元にちょこちょこいじれば②③の英文が作れるんですが、ベースが壊れていると、「あら、大変」ってことになるんですね。壊れた基礎の上に、新規事項をどんどん上塗りしていっても、それは・・・
砂上の楼閣。
そして、この大事なベースを作る段階を新カリキュラムでは小学生で学ぶことになるんです。小学生気分で。笑
これが怖いんですよね。
で、先ほどの質問の答えは②です。
最後に・・・
今回の教育改革で、それなりに小学生の時に英語を勉強していないと、中学校で英語に授業についていくのはかなり難しいだろうというのが率直な感想です。
これまでは、算数が目に見えて中学の数学に影響を与えてきましたが、今後はここに英語という教科も加わる形になります。「勉強は中学になってから頑張ればよい」というのがほぼ通用しなくなってきていますね。
これからは学力の二極化がますます進むことになりそうですが・・・。
Qooでは、本格的な個別教育というメリットを活かし、小学生から英語をしっかり学んでおきたい子はその期待に応えつつも、出遅れてしまった中学生にもリカバリーの機会を提供していきます。